「鼓膜が破れてしまった」 Kくん 10才
きれいに塞がりました!
お母さんが耳掃除をしている時に、加減を間違えて鼓膜が破れてしまったKくん。
通常、鼓膜が破れた場合には、自然に再生する場合がほとんどです。
ですがKくんの場合は損傷が大きく、ひどい耳だれに悩まされながら1年近く慢性中耳炎の状態が続きました。
こういったケースの場合、一般的な治療方法ですと大がかりな外科手術を行います。
耳の裏から鼓膜の代わりとなる皮膚を切り取る手術で、高額な手術費用や入院期間も必要となってしまいます。
お母さんも自分の手でKくんを傷つけてしまった責任を感じ、全身麻酔を使っての手術に抵抗を感じているようでした。
なんとか手術を受けずに治せないだろうか、と考えていると、別の患者さんからお願いされていた花粉症の治療法を思い出しました。
それは当時雑誌に掲載されていたもので、「トリクロール酢酸」という薬剤を使ってレーザーでの治療と同じように、鼻の粘膜を焼くというものです。
焼くことで傷ついた粘膜が、剥がれて再生する時にはより強いものになると言う事で、Kくんの治療に利用できないだろうか。
すぐに雑誌に掲載されていた先生に連絡を取り、最初は渋られながらも薬剤を薄める割合等を教えてもらいました。
Kくんのお母さんに治療法を理解してもらいながら試してみると、回数を重ねるごとに少しずつ回復していき、全部で12回の塗布を行った時には、鼓膜はすっかり元のように塞ぐ事ができたのです。
それからこの方法を使って、多数の患者様の治療を行っています。
塗布の回数は鼓膜の破損具合などによって変わりますが、高齢の方でも、みなさん同様に完治されています。
「トリクロール酢酸」による治療は保険が適応されます。お気軽にご相談ください。
鼓膜が破れてしまったら
鼓膜は、Kくんのように耳掃除で破れてしまう場合や、スポーツやケンカ等で耳に衝撃が与えられた時に破けてしまいます。
すぐに病院に来ていただくのが一番ですが、もし時間が空いてしまう場合には、消毒した綿球などで耳栓をして、細菌の感染を防ぎましょう。